放課後の子どもたちを預かる民間の学童保育が2024年4月に熊本市東区に開設された。コンセプトは「商店街で子育て」で、地域の活性化にも一役買うというその取り組みに迫る。
“公営クラブ”と“民間クラブ”
午後3時すぎ、学校を終えた小学生がやって来たのは、民間の学童保育『アフタースクール学Do健軍校』だ。2024年4月に熊本市東区の健軍商店街の中に開設された。
この記事の画像(11枚)学童保育は、保護者が仕事などのため家庭にいない小学生を放課後や長期休み中に預かる施設。共働き世帯が70%を超える中、需要が高まっている。
自治体が運営する“公営クラブ”と、企業などが運営する“民間クラブ”があり、民間学童保育協会によると、全体の約12%が“民間クラブ”を利用しているとみられている。
学童保育で健軍商店街を元気にしたい
施設ごとの特色がある民間クラブだが、なぜ、商店街の中に開設したのだろうか。
アフタースクール学Do健軍校・後藤謙吾施設長は「(健軍商店街が)だんだん元気がなくなってきていると感じていたので、その中で私たちの年代が頑張って、小学生や子育て世帯が来やすい街づくりをすることによってもっと地域全体が活性化すると思い、そのお手伝いができればと思って開設しました」と話す。
『学Do』を開設したのは県内外で体操教室を運営する『Doチャレンジクラブ』。健軍商店街にも教室を開いていて、学Doのプログラムにも体操が組み込まれている。
運営メンバーは、健軍や隣の益城町の出身で、子どものころから遊んだ健軍商店街を元気にしたいと商店街振興組合の若手メンバーとして、食や体験などを楽しめる『健軍アーケードパーク』などのイベントを定期的に開催している。学童保育は、こうした「商店街を活性化したい」という取り組みの中から生まれた。
地域の企業が“おやつ”や“体験”を提供
特徴は、毎日違う“体験”と“おやつ”が準備されていることだ。この日は日本茶専門店の抹茶ソフトクリームがおやつ。「商店街での子育て」に賛同した地域の企業68社が無償、または100円から300円で“おやつ”や“体験”を提供している。
後藤施設長は「地域のみなさんから見守ってもらえるのが強みだと思いますし、子どもたちも地域の人たちと触れ合うことが多くできる。商店街のおやつを味わったり、店舗に行って体験したりとか、普段とは違う大人の階段を一歩上るような経験ができるのが強み」と話し、大人な雰囲気のバーも、子どもたちがダーツを楽しむ遊び場だ。
商店街振興組合事業部長でクラブハウスgritの出田陽介代表取締役は「今、商店街では、色々な人たちの交流を日頃から考えている中で、学Doの取り組みは一番の起爆剤になっていると思うので期待している」と話した。
商店街育ちの子どもたちが将来の力に
高齢者の憩いの場でもある健軍商店街。この日の野球トレーニング教室には近所に住む高齢女性手が手をたたいて応援していた。女性は「(商店街に元気な声が響くのは)いいですね、みんな一生懸命になってね。子どもさんを見ると楽しい」と話し、商店街もこの取り組みに期待を寄せている。
健軍商店街振興組合の井川正宏理事長は「高齢化率が20~30%ある地区ですので、その中で子供の声が聞こえたり、昔は若い人もお年寄りも子供も商店街で遊んだり、私もそうですし、そういう雰囲気が戻ってくるのは非常にいいのかな。お年寄りにとっても子供がいるのは雰囲気的にもいいのかなと思う」と話す。
学Doは“週2日”または“5日”から選べ、事前連絡で午後8時までの預かりも可能だ。夏休みなど長期休みの預かりもある。
子どもを預ける保護者は「1年生になって発散する場がほしいと思って学校の(学童保育)と併用して使わせていただいている。体を動かす機会が少なくなってしまうので、それができているのでそういうのもありがたい」や「今までは(商店街に)来る機会がなかったので交流があっていい機会だと思います」と話した。
地域で子どもたちを見守り、育てる。商店街がふるさとになった子どもたちが、将来、地域の力になってくれるかもしれない。
(テレビ熊本)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。