秋田県内では2024年、6月30日までに510件のクマの目撃情報が寄せられている。2023年の同じ時期より123件増えている。また、これまでに6人がクマに襲われけがをしている。人身被害が過去最悪となった2023年と同じペースだ。
クマによる被害を減らそうと秋田県は、クマの出没を広く伝える新たなシステムを導入し、7月1日から運用が始まった。
新システムの通称は「クマダス」。インターネット上のページを開くとクマの目撃情報が表示される。これまでは警察から提供された目撃情報を県の担当課が入力し、ホームページで公開していたが、「クマダス」は市町村の担当者などが情報を得た時点で更新するため、より早く発信することができる。
実際にクマの目撃情報をクリックしてみると、出没した場所や時間のほかに、どの方向にクマが歩いていったかや、写真が表示されるようになった。
クマダスでは、クマやイノシシ、ニホンジカが目撃された場所や時間はもちろん、当時の状況や写真が表示される。これまで運用されてきた「野生動物情報マップ」と比べてみると、目撃された場所にクマのマークがついているため、分かりやすくなった。
クマダスは、県のホームページの「ツキノワグマ情報」から閲覧できる。地図上で調べたいエリアや、日時などの条件を絞り込むことができる。
また、目撃した人が投稿して情報を反映させることが可能だ。「出没情報を投稿する」をクリックし、いつ・どこで・何頭目撃したかなどを入力した上で、写真を送信することもできる。
県は、「人里」や「本来クマが出没しないエリア」で目撃した場合は、投稿だけでなく「警察に通報してほしい」と呼びかけている。
また、クマダスの特徴の一つは、クマの出没を知らせるメール配信機能だ。自分が住んでいる市町村や職場・学校がある地域などエリアを登録して、最新の情報をEメールで受信できる。配信される内容は「目撃情報」「人身被害」「食害」などから必要なものを選んで設定する。
情報を得た上で重要なのは、自らの命と生活を守ることだ。
5月に鹿角市の山林で警察官2人がクマに襲われ大けがをしたことを受け、小坂町は樹海ライン沿いを入山禁止としている。町はその後、青森で人身被害が発生したことや警察官を襲ったクマが特定されていないことから、6月30日までとしていた「入山禁止期間」を11月末まで延長することを決めた。
入山禁止エリアには絶対に立ち入らないことや、鈴やラジオで音を鳴らすなど、基本的な対策を徹底することはもちろんだが、“いつでも・どこでも・誰でも”日常生活の中でクマに遭遇する恐れがある。どんな場所にクマが出没しているのかを把握するため、新システム「クマダス」を活用してみてはいかがだろうか。
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