小池百合子氏の圧勝に終わった東京都知事選挙。史上最多56人もの候補者が出ただけでなく、ポスターを貼る掲示板や政見放送などでも、これまでに見られなかった内容のものが飛び出し「カオスな都知事選」とも呼ばれた。同時に選挙制度の在り方についても、さまざまな課題、疑問が口にされる中で自民党・石破茂元幹事長は『ABEMA Prime』に出演した際「(今回の)ポスターは誰がどう見たっておかしい」と、候補者本人ではないポスターまで貼られた事態に苦言を呈した。
【映像】選挙制度について熱弁をふるう石破元幹事長
■ポスター掲示板に違和感「掲示板本来の目的と違う」政見放送にも苦言
小池氏の圧勝、2番手に元安芸高田市長の石丸伸二氏が食い込み、元参議院議員の蓮舫氏が3番手に敗れるという結果に終わった都知事選。選挙戦の最中には、様々な話題が飛び交った。中でも注目されたのがポスター掲示板。NHKから国民を守る党(NHK党)が、候補者とは無関係なポスターを多数貼ったことに対して、有権者の間でも賛否両論飛び交う事態を招いた。1986年の衆議院議員総選挙で初当選して以来、数多くの選挙戦をくぐり抜けてきた石破氏は「誰がどう見たっておかしい」とバッサリ。「法律の抜け穴みたいなところがあって、違う人の写真でも自分の好きな猫の写真でも貼ってもいいらしいが、それは掲示板本来の目的と違う。本来の目的に戻そうというのは、9割以上の方が『そうだよね』と言ってくれる」と述べた。
また政見放送でも、自身の政策を語ることなく自己PRだけを行う候補者も見られたが「公の電波を使って全然選挙と関係ない話をしていた。公の電波はみんなのもので、自分のために使ってはいけないという、実に当たり前の話。公職選挙法に則り、候補者が届け出たものをそのまま放送するというけれど、そのまま放送することが本来の選挙の目的なのか。『素敵な私を見てね』みたいなことを言われても、選挙の目的にはならない」と苦言を呈した。
■選挙制度改革には前向き「変えなくては。本来の選挙に戻していくべき」
カオス過ぎた都知事選によって、顕在化した選挙制度の問題点。都内1万4000カ所に設置されたポスター掲示板ひとつをとっても、改革が必要だという。石破氏は「ポスターは自らの写真や名前など、自らを認識させるものでなければならないようにすればいい。本来の目的はそれ。貼るのが大変なのはわかるので、電子掲示板みたいなものでもいい。(制度は)変えなくては。本来の選挙に戻していくべき」とした。ネットが普及した現代において、掲示板そのものが不要という声もあるが「昭和の選挙と言ってしまえばそれまでだが、掲示板を見て決める人もある程度いる。1票を投じる決め手が掲示板という人が一定数いる以上、掲示板そのものをやめようとはならない」と、継続すべきという見解を示した。
また今回の都知事選では、各種メディアで討論会の開催が少なかったことも話題となり、中でも当選した小池氏が出てこなかったという点も注目された。石破氏は「いろいろな考え方があるだろうが『公務優先だから出ません』というのであれば、そのために副知事などの職務代理者がいる。どうしても知事でなければ判断できないことは知事が帰るにしても、選挙の期間はそれから先の4年間を問うもの。候補者たる者は、現職であろうがなかろうが、公開討論会に出なさいということを決めてもいいと思う」と、選挙戦の重要性を説いていた。
(『ABEMA Prime』より)
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