広瀬爽彩さんが遺体で発見された公園には花束やぬいぐるみが供えられていた=北海道旭川市で2021年9月23日午後4時半、菅健吾撮影

 北海道旭川市でいじめを受けていた広瀬爽彩(さあや)さん(当時14歳)が2021年に自殺した問題に関する再調査委員会の報告書が公表されたことを受け、市議会で17日、緊急質問があった。報告書が「いじめが主たる原因であった可能性が高い」と結論付け、校内でのいじめも新たに認定したことを踏まえ、市教委は学校内での事故などに支給される災害共済給付金を申請する考えを示した。

 給付金は、学校の管理下での子どものけがや死亡などに対し、学校設置者が教育委員会を通して請求すれば、治療費や見舞金などが保護者に支払われる制度。文部科学省所管の独立行政法人「日本スポーツ振興センター」が運営する。死亡見舞金は最高3000万円。いじめを苦にして校外で自殺した事例でも支給されている。

 市教委は22年4月にも申請したが「学校管理下での災害事実がなく未受理だった」と説明し、「学校内でのいじめが認定されたことから今後、改めて手続きを進めていく」とした。市の賠償責任については「司法の場所で判断されるもので、現時点では責任の度合いなどについて言及できないものの、遺族から訴訟が提起された場合は法に基づき適切に対応する」と答えるにとどまった。

 今回、再調査委が報告書を公表したことで、「いじめと自殺の因果関係は不明」とした市教委の第三者委員会による報告書と、結論が異なる2種類の報告書が存在することになった。市議会では「現場が対応に苦慮している」などと整合性を問う質問が相次いだ。市は再調査委の報告書を「極めて精度が高い」と評価する一方、「補完するもので、どちらかの優位性は規定されていない」とし、理解を求めた。【横田信行】

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