米東部メリーランド州の州議会議事堂=2021年7月3日、秋山信一撮影

 米東部メリーランド州のボルティモア郡警察は25日、生成AI(人工知能)技術を使って、勤務先の高校の校長が黒人差別をしたかのような音声を流布したとして、高校の男性体育教員(31)を学校の業務妨害などの容疑で逮捕した。教員は保釈金5000ドル(約79万円)を支払って同日中に保釈された。

 警察の発表によると、郡警察は連邦捜査局(FBI)や法医学の専門家に鑑定を依頼し、音声がAI生成による偽物だと断定した。校長はこの教員が学校の運営資金を不正に流用した疑惑を追及しており、その仕返しだったとみられる。

 問題になったのは、校長に似た声で「黒人の生徒は不愉快で無能だ。あいつらの能力不足にはうんざりだ」などと話す40秒ほどの音声だった。ユダヤ人差別の言動も含まれていた。

 米メディアによると、今年1月に複数の教員にメールで音声が送りつけられた。郡教育委員会は当時、「我々のコミュニティーでは憎悪や差別、偏見は許さない」と声明を発表。校長は一貫して「偽物だ」と主張していたが、騒動になって以降は有給休暇扱いになっていた。【ワシントン秋山信一】

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