人の頸(けい)動脈にできた隆起を切除して調べたところ、6割弱に微小なプラスチックが含まれていたと、イタリアの研究チームが発表した。検出された人は、されなかった人に比べ、脳卒中などになるリスクが4倍以上になっていた。微小プラスチックが体内の他の場所にも広がり、炎症を起こしている可能性があるという。
微小プラスチックはプラごみやポリ袋などが分解されてできる。飲料水などにも含まれているとされ、人の体内から検出されたとの報告もある。しかし人体への影響はよく分かっていない。
頸動脈の隆起は動脈硬化の原因になるとされ、切除するケースが多い。チームは、イタリア国内で、無症状の18~75歳の257人の頸動脈から切除された隆起を調査。58%にあたる150人から微小プラスチックが検出された。電子顕微鏡で見ると、免疫細胞内に微小プラスチックが取り込まれており、炎症を起こす物質がより多く出ていることも確認できた。
切除後に患者を3年弱追跡したところ、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中を発症するリスクや、何らかの理由で死亡する複合的なリスクが4・53倍になっていた。
チームは、微小プラスチックと病気や死亡との因果関係は不明としているが、「微小プラスチックは体内で広範囲に分布し、心臓などに蓄積することが動物実験で示されている」とし、人の体内でも広がっている可能性を指摘した。
成果は3月6日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表された。【渡辺諒】
岐阜大の下畑享良教授(脳神経内科学)の話
衝撃的な内容だ。微小プラスチックが体内にあると、炎症反応が増強され、それに伴って心血管系の病気を引き起こしていることが示唆される。
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