むかしむかし、大男が近江で地面を掘り、その土で富士山をつくった。掘った跡が琵琶湖になった。そんな昔話をもとに、滋賀県近江八幡市と静岡県富士宮市が交流を続けている。近江八幡市を訪れた富士宮市の一行が20日、富士山のわき水を琵琶湖へ注いだ。

 近江八幡市の記録では、1957年に市長や有志が富士山に登り、琵琶湖の水を捧げて平和を祈願したのが始まりだ。

 親善が続き、「長すぎた春にならないように結婚式を挙げたい」と、67年に富士宮市に縁組を打診。翌年に夫婦(めおと)都市になった。両市に「富士と琵琶湖を結ぶ会」をつくり、小学生の相互訪問や駅伝大会への参加など交流が続く。

 近江八幡からは毎年、琵琶湖の水を富士山に捧げる。今年は8月に近江八幡青年会議所のメンバーが山頂に注いだ。その水が山麓(さんろく)の富士山本宮浅間大社のわき水に合わさり、富士宮から琵琶湖へ返すという筋立てだ。

 この日、富士宮市の須藤秀忠市長やミス富士山ら47人を、近江八幡市の小西理(おさむ)市長らが出迎えた。琵琶湖畔の市神神社浜宮で友好を祈り、岸へ。竹筒に入れた富士山のわき水を湖へ注ぎ、水を返す儀式をした。琵琶湖への献水は34回目。

 須藤市長は「妻(近江八幡)のやさしさにほれきっている。見どころや学ぶものが多い」とたたえ、富士宮市観光協会の石田寛二副会長は「日本一の山と湖のまちの交流を広げたい」と語った。

 8月に富士山に献水した近江八幡青年会議所の西山亮平理事長は「一般の市民に広く知ってもらい、参加者が増えれば」と話した。(小西良昭)

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