働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金」について、働く意欲がそがれないよう制度を見直す案が示されました。

「在職老齢年金制度」は、働いて一定の収入がある高齢者にも年金制度を支える側にまわってもらうという考えのもと、保険料を負担してもらい年金支給を減らすものです。

65歳以上では賃金と厚生年金あわせて収入が月50万円を超えた場合、上回った年金の半分が減額されます。

この仕組みが高齢者の働く意欲をそいでいるとの指摘があり、厚生労働省は25日の審議会で、年金が減らされる基準を現行の50万円から62万円や71万円に引き上げる案のほか、制度自体を撤廃する案を示しました。

2022年度末時点で、65歳以上で働いている年金受給者は308万人いて、このうち16%にあたる50万人がこの制度で年金が減額されています。

今後、制度改正で、基準額が71万円に引上げられた場合、あらたに27万人が年金を満額で受給できるようになりますが、今より2900億円の財源が必要になります。

さらに、制度自体を廃止した場合では必要な財源の額が4500億円になります。

また、厚労省は、厚生年金の保険料を算出するために給料などの月額を32段階で区分する「標準報酬月額」の上限を現行の制度から10万円以上引き上げる案を示しました。

現在の「標準報酬月額」は65万円が上限で、厚生年金に加入する男性ではおよそ10人に1人にあたる、243万人(2024年6月時点)がこの等級に該当します。

上限を75万円にした場合では、168万人がこの等級となり、毎月9000円ほど保険料の負担が増加する一方で、将来受け取れる年金も増えるとしています。

厚労省は、与党などとの協議を経て、来年の通常国会に必要な法案を提出したいとしています。

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