岩手県内では2024年、クマの出没件数が10月までで2600件余りと2023年の同じ時期から半減しています。
なぜ減少したのかや今後の注意点について専門家に聞きました。

岩手県内で2023年に出没が相次いだクマ。
県によりますと県内の2023年度の出没件数は、前の年度の2倍を超える5877件に上り過去最多でした。

一方、2024年度はというと出没件数は10月までで2678件と、2023年度の同じ時期から半分ほどに減っています。

森林総合研究所 東北支所 大西尚樹さん
「今年が少ないというか、普通だと思う。とにかく去年が多かった」

野生動物の生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹さんは「今年度の出没が特別に少なかったわけではない」としながらも、2023年度から半減した理由についてブナの実などクマの餌が関連していると語ります。

森林総合研究所 東北支所 大西尚樹さん
「山の中のブナやドングリがそこそこなっていたことで、山の中で冬眠に向けた餌が賄えたということだと思う」

東北森林管理局がブナの実のなり具合を年度別に数値化してまとめたものを見ると、過去最多の出没件数となった2023年度の県内の豊凶指数は0で「大凶作」。

一方で2024年度は「並作」を示す2.7で過去6年間でみると2022年と並んで最も高くなりました。

クマの出没に関わるブナの実について、大西さんは近年の温暖化の影響もあり、実のなり具合のサイクルは予測しづらくなっていると話します。

森林総合研究所 東北支所 大西尚樹さん
「豊作・凶作の間隔が、昔は豊作・凶作から5~6年経って豊作・凶作という感じだったのが、最近は2~3年単位になってきてしまっている。来年はまた凶作がくるのかはまだわからない。2025年の春にならないとわからない」

また、近年目撃が増えているのが市街地に出没するクマ、いわゆる「アーバンベア」。
冬眠に入り始めるこの時期でも出没しないとは言い切れないため、冬ならではの注意が必要と大西さんは話します。

森林総合研究所 東北支所 大西尚樹さん
「これからの時期は灯油缶。揮発性のあるものの臭いがすると引き寄せられて来る。灯油缶を外に置くことは基本的にないようにして密封して屋内に置くようにしてほしい」

以前に比べて生活圏が人里に近くなっているクマ。
出没件数の増減に関わらず警戒を続けることが大切です。

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