奈良県と県内市町村を合わせたふるさと納税の寄付受け入れ額は、全国で最下位になっている。県は「税収が他府県に流出している」として、返礼品の拡大など対策に乗り出すことにした。

 山下真知事は3日の定例会見で、県の寄付受け入れ額に対する流出額が5年連続赤字で、その額も拡大しているとして、「県に入るべき住民税が他府県に流れている。何とか手を打たなければと考えた」と語った。

 県政策推進課によると、昨年度のふるさと納税の寄付受け入れ額は、県と市町村を合わせると約35億6千万円。全国で最も低く、県の分だけを抽出して見ると、実質的に約6億7千万円の赤字になっている。県の担当者は寄付が伸び悩む要因について、「海なし県」のため返礼品で人気の海産物をそろえられないことに加え、「寄付拡大に積極的に力を入れてこなかった経緯がある」と説明する。

 打開に向け、県は今後、新たな返礼品を加えると発表した。これまでは物品に限られたが、4日には、来年1月の若草山焼きを奈良公園バスターミナルの屋上から見られる「特別観覧席」のチケットを追加する。県内の宿泊施設で使えるクーポンなども加える予定だ。

 そうめんやハチミツなど20品目ほどしかなかった物品は、新たに100品ほど追加する。また、返礼率を約10%から30%に引き上げる。

 仲介サイトはこれまでは「ふるさとチョイス」しか利用できなかったが、今後は「楽天ふるさと納税」や「ふるなび」など四つを加え、間口を広げる構えだ。

 山下知事は、返礼品として人気のある観光分野が手つかずだったことについて「行政の怠慢と言われても仕方ない」と指摘。今後について、「まずは減収分をなくしていくのが第一の目標。そして全国最下位を脱却したい」と語った。

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