静岡県焼津市の飲食の魅力アップにつなげようと駿河湾の海底で熟成させる実証実験を経たワインの試飲会が11月26日、同市内で行われた。香りや味、地元の水産加工品との相性などを確かめた関係者らは、通常のものとは「まったく違う」と笑顔で話した。【丹野恒一】
ワインや日本酒などを海底で貯蔵すると、潮流による揺らぎや遮光の影響で科学的な変化が起きることが分かっている。実証実験は、将来的に「焼津沖の駿河湾熟成ワイン」を商品化できるかの可能性を探るとともに、他業種との連携の機運を盛り上げようと、焼津商工会議所が漁協などの協力で実施した。
今年1月、同市の石津海岸の沖合約100メートルで、国内産の赤・白ワイン計11種180本をスチール製のかごに入れて深さ約20メートルの海底に沈め、約6カ月熟成させて引き揚げた。瓶の約1割は小石があたるなどして割れていたが、想定以下だったという。
試飲会には観光・飲食業界の関係者ら約60人が参加。海底で熟成されたワインの瓶にはフジツボが固着して独特の風合いが醸し出され、参加者は同じ銘柄の通常の商品との違いを確かめようと、興味深そうに交互に味わっていた。市内で「つかもと食堂」を経営する塚本浩章さん(56)は「海底で熟成されたワインはかむほどにおいしく、鼻にいい香りが抜ける。すっぱみも消えてまろやかだ。これはすごい」と驚きを隠せない様子だった。
焼津商工会議所はアンケート結果をみて、今後の方針を検討する。今回引き揚げた分の一般販売の予定はないという。
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