候補者の演説に聴き入る有権者=2024年4月16日午前9時22分、長崎県大村市、天野光一撮影

 自民党安倍派だった谷川弥一氏(82)=自民を離党=が、裏金事件で辞職したことに伴う長崎3区補選。自民が候補者の擁立を見送り、立憲民主党と日本維新の会の「野党一騎打ち」の構図となった。告示された16日、カギとなる自民支持層の取り込みを狙い、候補者らはさっそく「政治とカネ」をめぐる論戦を繰り広げた。

 「もう二度と裏金づくりを国会議員にさせてはならない。真の政治改革を進めるには政権交代が必要だ」。立憲前職の山田勝彦氏(44)は、JR大村駅前の交差点で第一声をあげた。

 陣営側は「意図して選んではいない」と説明するが、交差点の向かい側には、辞職した谷川氏の事務所がかつて入っていたビルが立つ。裏金問題を批判し、無党派層の取り込みを狙う。

 同時に、山田氏は告示直前の12日、離島航路の低料金化などをめざす法案を国会に提出。「離島のドン」と言われた谷川氏の得意の政策で独自色を示し、自民支持層にもアピールしている。

 維新新顔の井上翔一朗氏(40)は、佐世保市のJR早岐(はいき)駅前で街頭演説を行い、「正々堂々と『政治とカネ』について、政治家が責任をとるという覚悟を示しているのが維新の会だ」と第一声をあげた。

衆院長崎3区補選で、支持を訴える維新の井上翔一朗氏(右)。音喜多駿政調会長が応援に駆けつけた=2024年4月16日午前11時4分、長崎県佐世保市のJR早岐駅前、上沢博之撮影

 国会議員の旧文通費の使い道を公開していることから、「本当の政治改革ができるのは、どこなのか」と強調。「改革保守政党」として自民支持層の取り込みを図る。

 応援に駆けつけた維新の音喜多駿政調会長は、「自民がいないなら、野党だったらどこでもいいわけではない。国のかじ取りを任せることができる政党はどこなのか」と述べ、立憲を牽制(けんせい)した。(天野光一、上沢博之)

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