石破内閣が発足して初めてとなる「政労使会議」には石破総理大臣や赤澤経済再生担当大臣らのほか、経済界から経団連の十倉会長らが、労働界からは連合の芳野会長らが出席しました。
この中で石破総理大臣は「政権としてはデフレ脱却と成長型経済の実現を確実なものとし、地方経済と日本経済をともに成長させ、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現することを目指す」と述べました。
そのうえで、来年の春闘でベースアップを含め大幅な賃上げが行われるよう協力を求めるとともに、中小企業や地方にも賃上げの流れを行き渡らせるため、先に決定した経済対策の裏付けとなる補正予算案の早期成立を図る考えを強調しました。
また、最低賃金を2020年代に全国平均で1500円まで引き上げるとする政府の目標を達成するため、官民を挙げて環境整備を図る考えを示し、来年の春までに対応策を取りまとめるよう関係閣僚に指示しました。
経団連 十倉会長「物価に負けない賃上げ定着させたい」
政労使会議のあと、経団連の十倉会長は、記者団に対し、「循環し始めた賃金と物価の好循環を定着させようということで、そのために価格転嫁をしっかりやろうとみんなで話をした。社会全体で価格転嫁を是とすることを作っていくことが必要だ」と述べました。
そのうえで、来年の春闘に向けて「物価に負けない賃上げを実現し、定着させたい。昨年度は賃上げの起点の年となり、今年度はその勢いを加速させた。この起点、加速、定着を経団連の合言葉として、社会的責務という強いことばを使ってやっていこうと。ベースアップを意識して賃上げしようと呼びかけていく」と述べ、賃上げの流れを社会全体に波及させ、定着を図る考えを強調しました。
連合 芳野会長「全国的な賃上げの機運醸成を」
連合の芳野会長は記者団に対し「ことしの春闘が33年ぶりの高水準で終わったので、この流れを来年につなげていくための基盤整備と、最低賃金の引き上げの2点を会議で申し上げた」と述べました。
そのうえで「石破政権でもこの会議が開かれ、賃上げに向けて政労使が同じ方向に向かっていく心合わせができるのは非常にありがたい。全国的な賃上げの機運醸成に向けて連合としても力を入れていきたい」と述べました。
一方「年収103万円の壁」の見直しについては「連合としては、税と社会保険の一体改革のほか、働き方やライフスタイル、性別による不公平感をなくしていくといった中立的な制度にすることを目標に掲げている」と述べました。
日商 小林会頭「最低賃金の引き上げ目標に懸念」
政府の最低賃金の引き上げ目標について、日本商工会議所の小林会頭は、政労使会議のあと記者団に対し、「最低賃金の引き上げのスピードと額については大いに懸念を持っている。地方によっては最低賃金の近辺で雇用しているところも多いし、最低賃金の速度と額が急激だと払い切れず、雇用をやめたり、事業をたたんだりするという声も聞かれる」と述べ、地方の中小・零細企業が最低賃金を支払えるかどうかを見極めながら議論を進めていくべきだという考えを示しました。
その上で、「地方の経済インフラを維持していくために、地方の事業者の実態をよく把握した上で対話を続け、解決策を見つけていくべきだ。事業者が今の事業の継続に勇気を持てるか、今後、双方で議論してやっていきたい」と述べました。
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