ルネサスはパワー半導体の生産拡大を目指す(ルネサス甲府工場、山梨県甲斐市)

ルネサスエレクトロニクスは20日、米パワー半導体大手のトランスフォームの買収が完了したと発表した。買収金額は3億3900万ドル(約537億円)で完全子会社となる。トランスフォームは電力効率が高い窒化ガリウム(GaN)を素材に使った次世代のパワー半導体を手掛ける。電気自動車(EV)向け需要を開拓する。

同日、ルネサスの演算用半導体などとトランスフォームのパワー半導体を合わせた15種類のシステムも発表した。EVに搭載する充電器などへの採用を見込む。あらかじめ動作の検証を済ませているため、顧客が半導体を購入して組み合わせるよりも製品開発の時間と費用を抑えられる。

パワー半導体は電力を制御するのに用いる。従来のシリコン素材からより電力効率の高い新素材へのシフトが進む。GaNは放熱性に優れる。スイッチの切り替え時に発生する電力損失が従来品の半分以下で、EVに採用すれば走行距離を伸ばせる。

ルネサスは年間40億個以上のパワー半導体を出荷する。欧米や中国勢が投資を拡大する中、ルネサスも自社が得意とするマイコンやアナログ半導体などと組み合わせる販売方法でシェア獲得を狙う。24年1月にトランスフォームの買収を発表していた。

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