北大の宝金学長㊨と陽明交通大の林校長=北大提供

北海道大学と台湾の陽明交通大学は25日、半導体分野を中心に研究協力体制を確立するとの合意文書に署名した。両大学の研究者でチームを構成し、共同研究を始めることを検討する。

北大は5日にも最先端半導体の製造を目指すラピダスと連携するなど、半導体分野で外部との連携を拡大している。北大の半導体人材の育成事業が本格化する。

25日午後に開いたワークショップで、北大の宝金清博学長が「半導体人材の育成への協力に感謝する。大きな一歩だ」と謝意を述べた。陽明交通大の林奇宏校長は「注力するのは半導体、人工知能(AI)だ。北大と総合的に議論できるだろう」と述べた。

陽明交通大は台湾積体電路製造(TSMC)の本社がある新竹市に拠点を置き、TSMCとの産学連携研究センターも抱える。半導体研究開発の人材育成に積極的だ。

陽明交通大は2021年、医学系に強い陽明大学と、工学系に定評のある交通大学が統合して誕生した。交通大は北大と13年に大学間協定を締結。統合後は陽明交通大とも結んでいた。今回の合意文書を契機に、半導体などより具体的な分野での連携を深める。

具体的には、北大の学生や研究者が遠隔地にいながら半導体製造を学べる機会を設ける計画だ。陽明交通大はオンラインで半導体製造の実習ができる仕組みも持つという。オンラインで学んだ後、台湾での共同研究につなげる。北大は化合物半導体のガリウムヒ素などの材料分野を強みとする。材料を陽明交通大で微細加工することも想定する。

バイオ・医療分野での研究強化も盛り込んだ。北海道では遠隔地の医療体制整備も課題で、高速通信環境や情報技術の活用は今後欠かせない。陽明交通大の林校長は「先端半導体が基盤となりAIなど情報技術を発展させ、医療分野へ応用させることができる」と訴えた。

北大の村山明宏副理事も「半導体を作るだけでなく使う分野も伸ばせば、北大から新しい産業が生まれる可能性も出てくる」と期待感を示した。

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