日本初の水素とバイオ燃料を活用したハイブリッド型観光船「HANARIA(ハナリア)」が10日から北九州市を拠点に運航を開始する。水素を使うことで二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅に削減するなど環境に配慮しており、振動を抑えた快適な船旅を楽しめるという。
船は全長33メートル、全幅10メートル、重さ238トンで定員約100人。商船三井グループなどが出資する「MOTENA―Sea(モテナシー)」(東京)が開発した。
船の後部に16本の水素タンクを搭載し、化石燃料で動かす従来の方法と比べて運航中に排出するCO2を53~100%削減。電気で動くためにおいや騒音がないのも特徴だ。
船体は航空機をイメージした丸みを帯びた白色のデザイン。1階の客室には大型モニターやプロジェクターがあり、座席レイアウトを変更可能。貸し切れば船内でセミナーやパーティーなどのイベントもできる。2階のデッキからはダイナミックな海の景観と潮風を満喫できる。
主に門司港(北九州市門司区)と小倉港(同市小倉北区)を発着し、4コースを用意。関門橋の下を通り唐戸市場や巌流島を船上から楽しむクルーズや、小倉港―若戸大橋間を往復して工場夜景を巡るナイトクルーズなどがあり、5500~1万1000円。サイトから乗船予約ができる。運航は関門汽船(同市門司区)が担い、水素関連産業の集積を目指す県は水素代の一部を補助し、運航を支援する。
「モテナシー」の高尾和俊社長(58)は2日、県庁を訪れ、服部誠太郎知事に就航を報告。服部知事は「水素の需要を拡大する上でも大きな取り組み」と歓迎し、「ぜひ2隻目、3隻目を」と今後の事業拡大に期待を寄せた。【城島勇人】
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