新潟県の阿賀野川の上流にあり、排水が新潟水俣病の原因となった旧昭和電工の鹿瀬工場=1963年撮影

 水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づく救済を受けられなかった新潟水俣病の未認定患者らが国と原因企業の旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償を求めた訴訟の新潟地裁判決を受け、環境省は18日、「今後とも、公害健康被害補償法の丁寧な運用を積み重ねていくとともに、地域の医療・福祉の充実、地域の再生・融和・振興に取り組んでいく」とのコメントを出した。

 同日午後1時半過ぎ、環境省の担当部署では職員がニュースサイトで判決の速報をチェックしていた。「勝訴だ」との声が一瞬漏れたが、その後に「いや……」と否定するような言葉が聞こえた。

 判決では国への請求は棄却されたものの、除斥期間が適用されなかったことや、原告の一部を水俣病と認めたことなど、国の主張が否定された点がある。

 環境省幹部の一人は「(国は)勝訴はしたが、全面的とは言えない。今回は熊本地裁判決と、かなり『異質』だった大阪地裁判決との中間的な内容の判決と言えるが、原告の一部または全員を水俣病と認めている点はどの判決も科学的知見に基づいているとは言えない」と話した。【山口智】

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