鎌倉幕府についてつづられた歴史書「吾妻鏡」には、旧暦の1181年6月25日に「客星」と呼ばれる星が突然現れ、「土星のような明るさに見えた」とする記述があります。

東京大学の大学院生、黄天鋭さんなどの研究チームは、この星は超新星と呼ばれる爆発によるものではないかと推測する一方で「土星のような明るさ」とする記述が満月ほどに明るく見えることもある超新星とは異なっていることに注目し、天体の特定を試みる研究を行いました。

「吾妻鏡」以外の史料なども検討した結果、カシオペヤ座付近の方向にある天体の可能性が高いとみて、現在の観測データをもとにモデルを構築して当時の明るさを推定したところ、「土星のような明るさ」と合致することから、この天体が「吾妻鏡」で紹介された「客星」だと特定しました。

このような「土星のような明るさ」の超新星は珍しく、詳しいメカニズムはまだ分かっていないということで、800年以上の時を経て、再び注目を集めそうです。

黄さんは「理論モデルを使って時間をさかのぼり、当時の人たちが目にしていた天体の姿を調べることは基礎研究としておもしろいだけでなく、非常に知的好奇心をくすぐられます」と話していました。

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