湯浅さんは福島県郡山市出身で、音楽愛好家だった父親の影響で幼いころから音楽に親しんで育ちました。

旧制安積中学校を卒業したあと、医師を目指して慶応大学医学部に入学しましたが、独学で始めた音楽に関心を持つようになり、同世代の作曲家、武満徹さんらが結成した前衛的な芸術家グループ「実験工房」に加わって、本格的に作曲家としてのキャリアをスタートしました。

湯浅さんは、代表作の「クロノプラスティク」をはじめ、管弦楽や合唱など、さまざまな作品を作曲し、最新の音響技術を駆使した電子音を取り入れるなど、前衛的な作風で、国内外の多くの音楽家に影響を与えました。

また、NHKの大河ドラマ「元禄太平記」や「徳川慶喜」、それに、「おかあさんといっしょ」の音楽など、テレビや映画の音楽も数多く手がけました。

2010年から国際現代音楽協会の名誉会員を務めたほか、2014年には文化功労者に選ばれています。

出身の郡山市では、「フロンティア大使」を務め、市ゆかりの合唱曲や学校の校歌を提供するなど、地元の音楽文化の発展に尽力しました。

ことしは、湯浅さんが妻を追悼するために作曲した作品が、国内の優れたオーケストラ作品に贈られる「尾高賞」を受賞し、5月に都内で行われた授賞式には、車いすで登壇していました。

所属する事務所によりますと、その後、体調が悪化して、自宅で静養を続けていましたが、7月21日に肺炎のため亡くなったということです。
94歳でした。

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