地球温暖化の影響でこの10年に熱帯夜が年2週間以上増加した地域に住んでいる人は約24億人に上るとの報告書を、米国の気候研究機関「クライメートセントラル」が8日、発表した。約10億人は30日以上増加した環境にいるという。夜間に高温にさらされることで、睡眠不足や心血管疾患などのリスクが高まることが懸念される。
クライメートセントラルは、観測データやコンピューターシミュレーションなどに基づく分析結果を活用し、2014~23年に夜間の最低気温が25度を超える「熱帯夜」になった地域や日数、温暖化の影響などを調べた。
その結果、温暖化していなかったと仮定した場合と比べて、熱帯夜が年平均で2週間以上増えた地域の人口が世界で24億人に上ると推計された。日本では、温暖化で熱帯夜が年平均で1週間以上増加。都市別では東京で年27日、大阪で36日、京都で17日増えていた。
気象庁によると、熱帯夜は長期的に増加傾向にある。統計開始以降で最も暑い1年となった23年は、東京で57日間、かつてはほぼ熱帯夜となることがなかった札幌でも7日間と、いずれも過去最多を更新した。
クライメートセントラルによると、夜間も気温が下がらないことで睡眠不足や睡眠の質の低下を招く恐れがある。日中暑さにさらされた体を冷やし、回復させることが妨げられるほか、心血管疾患などのリスクも増すという。
報告書を執筆したクライメートセントラルのミシェル・ヤング研究員は「気候変動によって引き起こされる夜間の暑さやそれに伴って引き起こされる身体・精神的な影響は、多くの人の生活を崩壊させている。化石燃料を燃やすことをやめ、これ以上気温を上昇させないことの重要性がかつてなく高まっている」とコメントした。【山口智】
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