半導体メモリーの一つ、DRAMの指標品の7月の大口取引価格は前月から横ばいだった。横ばいは2カ月連続。パソコン(PC)やスマートフォン向けの需要の回復に時間がかかっている。一方、米韓の大手メモリーメーカーは汎用品の供給を絞っており、今後は価格が上昇するとの見方がある。

DRAMはPCやデータセンターのサーバー機器、スマホなどに組み込んでデータの一時保存に使うメモリーだ。約50%がPCとサーバー、約35%がスマホ向けとされる。大口取引価格は国内外の半導体メモリーメーカーとデバイスメーカーなどが月ごとや四半期ごとに決める。

7月の大口取引価格は、指標となるDDR4型8ギガ(ギガは10億)ビット品が1個2.10ドル前後だった。容量が小さい4ギガビット品は1個1.62ドル前後。いずれも2カ月連続で横ばいとなった。

汎用品のDRAMは物価高や中国景気の落ち込みなどを受けて「PCやスマホの個人需要がふるわず、回復が遅れている」(エレクトロニクス商社)。

一方、生成AI(人工知能)向けサーバーなどの需要を背景に、米韓の大手メモリーメーカーは高速で大容量処理が可能な「広帯域メモリー(HBM)」と呼ぶ積層型の次世代DRAMに生産をシフト。HBMは生成AI向けに使われ引き合いが強いうえ、汎用品と比較して価格が高いからだ。

HBM以外の供給が絞られることが、DDR4など汎用品の価格にも上昇圧力となる。別のエレクトロニクス商社の幹部は「PCメーカーの一部は、メモリーメーカーが提示する値上げをのんでいる」と話す。

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