福島で広く栽培されている桃や桜の天敵である特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」(クビアカ)の被害が県外各地で深刻化し、福島県が警戒を強めている。県内ではまだ発見されていないが、侵入した場合に早く見つけて被害を食い止めようと、県はオリジナル啓発グッズを作り、「虫とり少年」の力も借りて情報提供を呼びかけている。【岩間理紀】
県によると、クビアカは体長2~4センチほどの外来カミキリで、首の部分(胸部)が赤い。幼虫は桜や桃などの樹木を内部から食い荒らし、1匹のメスが1000個以上産卵した事例もあるほど繁殖力が強い。国内では2012年ごろに初めて確認され、これまでに14都府県で発見されているという。
クビアカは農地のほかに庭の木や公園といった場所に生息し、多くの人の目で監視することが被害を防ぐには重要になるという。このため、県農業総合センター(郡山市)などは、同じく桃などの果樹を標的にするイノシシの革に、クビアカの姿をプリントした特製キーホルダー(税込み1200円)を作った。やっかいもの同士がコラボしたオリジナルキーホルダーで注意を促すねらいで、同センターの売店で販売し、売り切れ後も注文販売を受け付ける。
また、県は昆虫に興味がある「虫とり少年」らの力を借りようと、子ども向けのクビアカ啓発ポスター約600部を県内の小学校などに配布して情報提供を求めている。他の地域では実際に子どもらがクビアカを発見したケースもあるという。成虫の姿を知ってもらうとともに、幼虫が排出するフンと木くずが混ざった「フラス」など、クビアカ発見につながるポイントを広く周知したい考えだ。
同センター安全農業推進部の菅野英二部長は「早期発見が非常に重要になる。県民のみなさんにもよく知ってもらい、対策につなげたい」と呼びかける。
クビアカを発見した場合は、県環境保全農業課(024・521・7342)か、県自然保護課(024・521・7210)へ。
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