【みらい船上・時事】北極海で約3週間に及ぶ観測活動を行ってきた海洋地球研究船「みらい」は27日未明(日本時間同日夜)、ベーリング海峡を通過し、北極海を離れた。青森県むつ市から乗船してきた研究者らは30日に米アラスカ州ダッチハーバーで下船し、太平洋の海洋観測を行う研究チームと交代する。

「例年の北極航海と比べて日数が短かったが、当初の(観測)目標は達成できた」。みらいで首席研究者を務める海洋研究開発機構(JAMSTEC)の伊東素代・副主任研究員はそう振り返り、「船長や船員、観測技術員の方々が培ってきた経験と高い技術に支えられた」と感謝を口にした。

みらいは5日に北極海に入り、アラスカ州北部バロー沖など北極海の計47カ所で観測を実施した。氷縁で3日間観測した際は気温がマイナス4度程度まで下がったが、それ以外はマイナス2度ほど。夏とはいえ、イメージしていた北極海とは異なる氷のない大海原に温暖化の影を感じた。

航海中はホッキョクグマやアザラシに遭遇することはなく、辻晶久船長も「鳥しか見ていない。これほど動物を見掛けないのは初めてかもしれない」と驚いていた。

北極海の夕日=24日、海洋地球研究船「みらい」船上

27日、ベーリング海に懸かった虹=海洋地球研究船「みらい」船上

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