ラピダスの小池淳義社長は「技術開発は計画に遅れなく進んでいる」と説明した(3日、北海道千歳市)

最先端半導体の量産を目指すラピダスは3日、セイコーエプソンの千歳事業所(北海道千歳市)内で半導体の組み立てなどを担う「後工程」向けの研究開発用ラインを着工した。同日、千歳市内で開いた記者会見でのラピダスの小池淳義社長と折井靖光専務執行役員、セイコーエプソンの小川恭範社長の主な発言は次の通り。

――前工程や後工程の技術開発の進捗は。

小池氏「米国に140人超のエンジニアが駐在し開発に取り組んでいる。回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体製造は簡単ではないが、計画に遅れなく進んでいる」

折井氏「後工程の技術開発は、セイコーエプソン内に研究開発拠点ができることで加速する。米IBMやドイツ、シンガポールの研究機関と進めているものを統合し、世界最先端のパイロットラインにする」

セイコーエプソンの千歳事業所はラピダスが建設を進める工場に近接している

――後工程の研究でセイコーエプソンの技術をどう活用しますか。

小川氏「すぐに作ることはない。ただ当社は高精細なデバイスを製造し、ものづくりのすり合わせ技術がある。協力できる可能性はあり、検討したい」

――製造の自動化でどの程度のレベルを目指しますか。

小池氏「ロボットや人工知能(AI)を駆使し完全な自動化を目指している。後工程を含めて自動化し、世界で一番早く作れる全自動の一貫した供給システムを考えている」

――4月には米シリコンバレーに営業拠点を設けました。顧客獲得の状況は。

小池氏「公表している企業以外に40社と交渉を進めている。来年以降、説明できる時期がくる」

――ラピダス進出や後工程の研究拠点開設による北海道経済への影響は。

小池氏「AIを使って第1次産業や第3次産業に貢献できる。最終的な経済効果は数十兆円といわれる」

小川氏「人材や雇用面でも効果がある。関連サプライヤーが道内にくるようになり、当社もサプライチェーンの面で有利になる。地域の活性化に貢献できるのではないか」

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