熊本県の球磨川支流の川辺川に建設予定の流水型ダムを巡り、水没予定地がある同県五木村が、建設に事実上同意する見通しであることが関係者への取材で判明した。村はこれまで賛否を明らかにしてこなかったが、環境影響評価(アセスメント)の手続きが進んだことなどを受け、21日の村民集会で木下丈二村長がダム受け入れを前提とした村の振興策を説明する。
ダム計画は蒲島郁夫知事が知事就任直後の2008年に白紙撤回したが、20年の九州豪雨を受け、容認に転じた。国と県は27年度のダム本体の着工、35年度の完成を目指している。
ダム建設で村の一部が水没する五木村に対しては、国と県が100億円規模の財政支援を柱とする地域振興計画を示し、23年5月に国、県、村の3者で合意。その際、木下村長は、最終的な賛否については環境アセスの内容などを勘案して判断するとしていた。環境アセスの最終手続きに向けた知事意見が12日にも出ることになっており、判断材料が出そろうことになる。
一方、関係者によると、流域12市町村で構成する「川辺川ダム建設促進協議会」(会長=森本完一・同県錦町長)は12日に県庁を訪れ、知事と国土交通省九州地方整備局に対し「川辺川の流水型ダムの早期着工」を求める要望書を提出する。書面は首長連名で、副会長の木下村長も同行する見通しだ。
木下村長は10日、ダム促進協の協議後に取材に応じ「(自身の判断は)21日に村民説明会で述べる。集会の場で考え直すことはない。村民の9割が反対となれば、自分が辞めるしかない」と語った。【山口桂子】
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