宇宙航空研究開発機構(JAXA)は月面着陸した無人探査機「SLIM(スリム)」が29日未明から休眠状態になっていると明らかにした。5月中旬〜下旬、4度目の月の夜を乗り越えて再稼働できるか確かめる。月の過酷な環境で機体がどこまで耐えられるか明らかにできれば、今後の月探査に向けた知見を蓄積できる。
JAXAはスリムのプロジェクトに関するX(旧ツイッター)の公式アカウントで最新の稼働状況を報告した。
月は約2週間ごとに昼と夜が入れ替わる。昼の温度はセ氏110度、夜はマイナス170度にもなる。温度変化が激しく、越夜するごとに機体の故障確率は上がるとみられる。
スリムは夜を耐える設計にはしていないが、すでに3度の月の夜を乗り越えた。23日夜には機体との通信を確立して、主要機能の維持を確認した。カメラで月面の周囲の様子も撮影した。飛行中の探査機の向きを計測する装置を使った撮影にも成功した。
JAXAが開発したスリムは世界初となる半径100メートル以内への「ピンポイント着陸」と、月の岩石の成分などを調べる科学観測が目的だった。1月20日に精密着陸に成功後、約1週間後に科学観測を実施した。太陽が沈んだため休眠状態に入り、2月下旬に1回目の越夜の成功を確認した。2回目は3月下旬に確認した。
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