プラスチック汚染根絶のための条約策定を目指す政府間交渉委員会は条文案の合意を先送りする見通しとなった。韓国・釜山で開催の交渉委の会合で、ルイス・バジャス議長(エクアドル)が1日、会合を中断し、後日再開することを各国に提案した。
2022年の国連環境総会は、プラ汚染根絶のため、24年末までに法的拘束力のある国際条約を作るという決議を採択。11月25日開幕の最終会合で全ての条文を完成させ、25年にも外交会議を開いて採択することを目指してきた。
釜山での会合は、プラ素材・製品の生産規制が最大の焦点だった。プラ素材の生産を減らしていくための世界目標策定を求める欧州連合(EU)などに対し、サウジアラビアといった産油国は生産規制に関する条文を盛り込むこと自体に反対し、夜を徹した交渉が続いた。
会期末の1日、バジャス議長は新たな条約草案を公表した。プラスチックの環境への流出防止策については、締約国に実施を義務付けることを盛り込んだが、生産規制に関しては「条文を設けない」という案と、プラ素材などの削減目標を第1回締約国会議で決める案を併記したままだった。バジャス議長は「この草案を今後の交渉のベースにすることに同意してほしい。改めて会合を開きたい」と各国に賛同を求めた。
経済開発協力機構(OECD)の報告書によると、全ての国で生産抑制を含めた強力な対策を取らなければ、プラごみの環境への流出量は40年には20年の5割増の約3000万トンに上る。40年までのプラスチック汚染根絶を訴える有志国の集まり「高い野心連合」は1日、交渉委会合の会場で記者会見を開き、「私たちには(プラ汚染の)危機に共に取り組むための規定が必要だ」とし、生産規制の必要性を訴えていた。【釜山・大野友嘉子】
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