大阪公立大学などは汗をかいた時に強いにおいが出る「腋臭症(わきが)」の原因になる菌を特定し、ピンポイントに死滅させる酵素を合成した。従来の抗菌剤は有用な菌まで殺菌する問題があった。腋臭症を治療する塗り薬やデオドラントの開発につなげる。
日本人の1割が患う腋臭症は、脇などにあるアポクリン腺という汗腺が固有の物質を分泌するのが原因だ。分泌物自体は無臭だが、皮膚にいる菌が分解して揮発性の臭い物質に変える。原因の菌はある程度特定されていたが、詳しい仕組みは不明だった。
研究チームは20人の脇からサンプルを採取し、そこにいる細菌の遺伝情報を調べた。その結果、臭い物質の生成に複数の菌が関わることや「S.ホミニス」というブドウ球菌の仲間が主要な役割を果たすことが分かった。
S.ホミニスを死滅させる酵素も合成した。一般的な抗菌剤はヒトの皮膚を湿潤に保つ菌なども殺菌するが、この酵素はS.ホミニスだけに働くために腋臭症の塗り薬に使える。今後は効率的な合成方法を開発する。
東京大学やマンダムとの共同研究で、成果をまとめた論文をオランダの学術情報大手エルゼビアの科学誌「ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー」に掲載した。
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