北洋銀行の津山博恒(ひろのぶ)頭取が、4月の就任以来初めて朝日新聞のインタビューに応じた。国主導の次世代半導体会社ラピダスの北海道千歳市進出について「道内の人口の社会減を食い止める可能性がある」と評価した上で、2023年度は半導体関連で「約150社の事業者と接触し、400億円の融資額(予定含む)を積み上げた」と明らかにした。

  • 「脱炭素への事業 収益化が役目」北洋銀行の津山博恒頭取の一問一答

 半導体産業の育成では「道内に関連企業数は相当数ある。それらをまとめていくことが重要」と強調。再生可能エネルギーを使うグリーンエネルギーや豊富な水、充実した大学などの学術機関といった利点を活用すれば、「シリコンアイランド」として先行する九州にキャッチアップしていくことは可能との認識を示した。

 北洋銀は、今後10年間に全国で150兆円超とされるGX(脱炭素化)投資を呼び込むコンソーシアム「チーム札幌・北海道」の一員でもある。津山氏は「北海道の再エネのポテンシャルは高く、脱炭素を実現する事業を収益化できるようにするのが我々の役目」と述べた。6月にも決まるとされる国の「金融・資産運用特区」については「札幌市と道が申請している計画はGXをキーワードにしており特色がある。実現すれば、いろいろな規制緩和が進む」と期待感を示した。

 人口減に伴う支店網の再編では「単純に支店を減らすことはしない」としつつ、「これまではフルバンキングだったが、機能を絞ったり、遠隔相談システムを導入したりして持続可能な人員でお客さまのニーズにこたえられる仕組みにしていく」と述べた。信用金庫など他の業態の金融機関とも「競争分野でないところでは、アライアンスなどやれることはいろいろある」と語った。

 旧北海道拓殖銀行出身者としては6年ぶりの頭取となった津山氏は自らも現場で経験した1997年の経営破綻(はたん)について「いろいろな方々にご迷惑をおかけした。二度とあってはいけない」と振り返った。今後の銀行経営については「いま北洋銀行の財務の健全性は全国の地銀のなかでもいいところにいる。それを堅持しつつ、リスクテイクとのバランスをもう少し考えていく」と語った。(日浦統)

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