環境省の中央環境審議会自然環境部会で22日、日高山脈襟裳国定公園の国立公園指定が決定したことを受け、関係自治体の首長は地域振興に期待を寄せた。一方、新名称が十勝を加えた「日高山脈襟裳十勝国立公園」になったことについては、自然保護団体から「違和感しかない」と批判の声が上がった。
同部会に出席した十勝の関係6市町村で構成する「十勝・日高山脈観光連携協議会」会長の手島旭・芽室町長は「自然保護の観点に立ち、景観や食の魅力を発信して地域振興を加速化したい」と発言。中札内村の森田匡彦村長も「地域活性化の追い風」と歓迎した。
帯広市の米沢則寿市長は「地元として大変喜んでいる。指定後も見据え、さらなる機運の醸成を図りたい」とのコメントを出した。
名称を巡っては、環境省が2月の同部会で、十勝と日高の関係首長が要望した「十勝」追加案を提示。委員の意見が割れ、異例の多数決で追加案が了承されたが、改めて十勝を加える意義の説明が求められていた。環境省は22日、公園区域が十勝側にも大きく拡大▽公園の保全管理は日高側と十勝側双方の協力で成り立つ――と意義を説明した。
自然保護団体も国立公園化自体について歓迎の立場。だが、名称の十勝追加は「観光目的だ」と反発を強めている。十勝自然保護協会の安藤御史共同代表は「人間が開発した食糧生産地の十勝は国立公園とは結びつかず、そこに違和感がある。環境省がさまざまな意見を参考にせず、首長の要望だけで決めたのは極めて恥ずかしい」と指摘した。【鈴木斉】
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