ドライブ中、窓から愛犬が身を乗り出してるクルマを見かけることがある。風を受けて気持ちよさそうだが、これって違反にならないのだろうか?
文/ベストカーWeb編集部、写真/Adobestock(トビラ写真=Chalabala@Adobestock)
■人間がやると安全運義務違反やシートベルト違反に問われる場合も
愛犬について述べる前に人間について説明しよう。道路交通法に窓から身を乗り出すことそのものへの規定はない。ただし運転者がそのような姿勢をとれば第七十条の「安全運転の義務」に違反するだろうし、同乗者が行えば第七十一の三にある「座席ベルト装着義務」に違反するものと思われる。
ではそれらを満たしていればOKかというと、答えはNoだ。ちとややこしいのだが、道路交通法の第七十六条に「道路における禁止行為」という規定があり、「公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」を禁止している。
これをもとに各都道府県の公安委員会が道路交通規則あるいは道路交通法施行細則といったルールを規定しており、こちらに「走行中の車両から身体や物件を道路上に付き出してはいけない」という条項があるのだ。
具体的に見てみると、東京都の道路交通規則でいえば第17条第4号、埼玉県なら第16条第5項、大阪府なら第14条第5号といった具合だ。
■犬が顔を出すのは「道路における禁止行為」にあたる恐れが
上記を踏まえて愛犬について説明しよう。ペット好きには異論もあるだろうが、車内の愛犬はモノとみなされる。モノはシートベルトを締める義務はないので、座席ベルト装着義務に問われることはない。
ただし運転手が愛犬を膝に載せて運転していたとしたら、冒頭で触れた「安全運転の義務」に違反する可能性がある。
安全運転の義務とはこんなものだ。「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」。
つまり犬を抱いていては確実な操作ができないとみなされるわけだ。
では助手席やリアシートに載せた愛犬が身を乗り出していた場合はどうか。これは前段で触れた「道路における禁止行為」にあたり、各都道府県の道路交通規則に抵触する場合がある。愛犬は道路上に付き出してはいけない「物件」だからだ。
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