政府は15日、日本学術会議の法人化に向けた法整備について議論するワーキンググループ(WG)の初会合を開いた。WGで法人の形態など課題を洗い出したうえで法制化を進め、2025年にも国会に法案を提出したい構えだ。
WG主査の産業競争力懇談会の五十嵐仁一専務理事は終了後、記者団に学術会議のガバナンス(統治)のあり方が主要な課題になるとの考えを示した。「科学の進歩と社会の変化が学術会議の活動・運営に自律的に反映される仕組みを整える」と語った。
学術会議は会員選考や活動の独立性を求めている。同日のWGでも独立行政法人や特殊法人には主務大臣が関与するため「法人化イコール独立性の確保を意味しない」と訴えた。
学術会議の組織の見直しは2020年に菅義偉前首相が会議側の推薦候補6人の任命を拒否したことが議論のきっかけだ。会議のあり方を話し合う政府の有識者懇談会は2023年12月に国とは別の法人格を有する組織への改変を促す中間報告をまとめた。
学術会議の設立は日本学術会議法に基づく。会員は会議の推薦で首相が任命し、特別職の国家公務員と扱われる。中間報告は会議が機能を十分に果たすためには「政府の機関であることは矛盾を内在している」と指摘した。
WGは懇談会の下に位置し、次回以降、法人の形態について関係機関から聴取する。政府は23年の通常国会に学術会議法改正案の提出をめざしたが、学術会議側の反発で断念した。
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