【シリコンバレー=渡辺直樹】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は8日、米グーグルとメタが10代をターゲットにした追跡広告を配信していたと報じた。未成年を対象にすることを禁じる自主規制を設けているが、自ら規制にかからない手法を講じ配信していたという。SNSや動画配信サービスの運営会社に対し、未成年者の保護を求める声が強まっており、2社の取り組みに批判が集まる可能性がある。
FTによると、グーグルが展開する動画共有サービス「ユーチューブ」上で、13〜17歳の利用者に照準を合わせ、メタが提供する画像共有アプリ「インスタグラム」を宣伝する広告を配信したという。
グーグルは18歳未満の利用者に対し広告のパーソナライズ(関心に合わせて内容を最適化する手法)を禁止している。
問題となった広告は、広告を表示するためのシステム上で属性が「不明」に分類されている利用者が18歳未満に偏っていることに注目し、同カテゴリーの利用者に広告を配信した。事実上、未成年をターゲットにできる「抜け穴」で自主的な規制を回避していたという。
FTは関係者の話として、こうした手法はすでに中止したと報じている。
グーグルの広報担当者は「18歳未満にパーソナライズした広告は禁止しており、技術的な安全策が適切に機能していることを確認した。広告主や代理店がポリシーを回避しようとする手法を手助けしてはならないと営業担当者に徹底するため、追加措置を取る」と述べた。
メタからコメントは得られていない。
米国ではSNSなどのインターネットサービスの運営会社に対し、有害なコンテンツや健康被害から未成年者を守るための保護が不十分だという声が強まっている。1月には米国議会で企業トップを呼んで公聴会が開かれ、メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が謝罪した。
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