不作が続いている有明海のノリ漁の赤潮対策として、佐賀県は2024年度から海況予測システムの開発に着手する。専用機器や衛星画像などを活用し、赤潮の発生や動態を予測し、ノリ生産の安定化を図る考えだ。
県内のノリ養殖は生産量、販売額とも日本一を続けていたが、22年度に20年ぶりに首位から陥落。赤潮による色落ち被害や成長不足が響いた。今季も少雨などの影響で日本一の奪還には厳しい状況だ。
県水産課によると、色落ちは赤潮の発生による栄養塩不足が要因。特に22年度は10月下旬の種付けの時期に赤潮が発生し、成長不足が深刻化したという。
赤潮の発生が予測できれば、発生場所を避けて種付けができ、赤潮発生前の収穫も可能となる。県は24年度当初予算案に関連事業費4100万円を計上。26年度までの3カ年計画で大学などとも連携して海況予測システムの開発に取り組む。
システムは光の吸収度合いを計測する専用機器でプランクトンの活性を把握し、赤潮発生を予測。潮流調査や衛星画像で赤潮の広がる方向も予測する。3日先までの水温や塩分、赤潮の状況を予測し、漁師らに情報を提供する。
県水産課は「赤潮という不作の要因がはっきりしているので、予測できれば生産の底上げができる。日本一を奪還できる環境を整備していきたい」としている。【五十嵐隆浩】
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